FCCアマチュア無線ライセンス受験記
de N2YX(ex KC2IOG, AB2NF)
アメリカに留学中に取得した、アマチュア無線ライセンスの受験体験記です。
アメリカのアマチュア無線制度、試験制度についてはWEB上に多くのリソースがあるのでここではあまり触れません。
詳しくは、ARRLのWelcome
to Amateur Radio! や、
FCCの、Amateur
Radio Serviceなどが参考になるかもしれません。
また、以下の内容は私の受験時(2001年秋)のものですので、
受験される場合は最新の情報をご確認ください。
受験履歴
- Sep. 29 2001 : Element2(Technician), Element1(CW), Element3(General) 合格
(Horse Heads, NY, ARRL VEC)
- Oct. 13 2001 : Element4(Amateur Extra) 合格 (Endicott, NY, ARRL VEC)
渡米から受験まで
2001年の夏に渡米が決まって、まず考えたのはアマチュア無線のこと。
日米間には相互運用協定が締結されているので、
日本の免許状の範囲内(かつ米国の法令の範囲内)で運用は出来るものの、
私の日本の免許は50Wまでだし、免許されてるバンドも限られてるという状況(一応1アマですが(^^;)。
それにアメリカはバンドプランが違うので、フルに運用するにはアメリカのライセンスが必要、
ということで、渡米したらFCCのライセンスを取得することにして、情報収集をはじめました。
ARRLのWEBで
試験日程と場所の検索が出来ることを知り、
早速居住地IthacaのZIP(14850)を入れ、最短の20マイル範囲内を検索してみたところ該当なし…。
範囲を50マイルまで拡大してみると何件か引っかかるという状況でした。
50マイルっていうと、80kmでかなり遠そうです。車がないと行けないし、
当面は無理そうだなぁということが分かった状態で渡米しました。
大学もはじまった9月の中旬に、留学先のコーネル大学にアマチュア無線クラブ(W2CXM)があることを友人のJF1CDXから教えてもらったので、
早速入部しました。そこでクラブのアドバイザー役をしているN2VR,Mikeに会い試験の情報を聞いたところ、
直近の試験は9月29日にIthacaから1時間ほどの所にあるElmira(正確にはその近くのHorse
Headsという街でした)で行われるHamfestの際に行われるとのことでした。
Mikeは他にも、問題集はRadioShackで手に入ること、AA9PWのサイトで試験練習が出来ることなど、試験の情報を親切に色々教えてくれ非常に助かりました。
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| 早速購入したTechとGenの問題集 |
受験準備(Technician、General)
Mikeのアドバイスに従い、問題集を近くのRadioShackに探しに行きました。行くと、ARRLが出してる入門書(Now
You're Talking!)と、Gordon West(WB6NOA)が書いてるStudy bookのTechcian級とGeneral級用のがあり、Extra級用は無い模様。試験まで1週間ほどしかなかったので、ひとまずGeneralまで取るのを目標にして、GordonのTechとGenの本を買って帰りました。
Gordonの本は、日本の「完全丸暗記」(誠文堂新光社刊)みたいな本で、基本的にはQuestion
Poolの問題と解答、それに簡単な解説が載っているという本です。解説も、暗記問題はこうやって覚えろ、みたいなフレーズが書いてあったりして結構実用本位でした。問題自体は、無線工学は非常に基本的で易しいですが、法規が日本とかなり違うので苦労しました。特に下位の資格は、同じバンド内でも運用範囲が制限されているため、どの範囲が運用可能かを正確に覚えるのに苦労します。さらに、第三者通信の取扱いや、コントロールオペレータの権限など、日本では馴染みのない規定はなかなか想像が付きにくく、本を何度も読んで覚えることになりました。
そんなわけでTechの準備にほとんどを費やし、Genの本を読み始めたのは試験前日という状態でHamfestに向かうことになりました。
試験当日(Technician、General)
受験申請とTechnician級受験
当日は大学のクラブでHamfestに行くことになっていて、Mikeがメンバーみんなを連れていってくれました。試験は朝9時から開始の予定でしたが、準備が遅れて結局10時ぐらいから受付・開始になりました。受験のためのIDとして、通常写真付きの物を提示することになっていたので、私はパスポートを持参しました。外国人の受験は初めてだったようでIDが受け付けられるかどうか若干まごつきましたが、無事IDも認められ、受験申請書のNCVEC-FORM605をその場で書いて、受験料$10を払い、Technicianの試験問題セットをもらい試験開始となりました。
試験場には既に5,6人の人がいてめいめい試験を受けていましたが、私はこの後さらに2つの試験を受ける予定でしたのでそんなにのんびり解けません。試験はARRL
VECにより実施されていましたが、ここの試験問題の並びは問題集で見慣れた分野順ではなく、ランダムな順番になっておりちょっと面食らいました。Techの問題自体はさほど難しくなかったものの、落ちると洒落にならないので念入りに答えを確認してVE(試験官)に提出して採点してもらい、結果は無事合格(^_^) まず1枚目のCSCE(合格証書)を発行してもらいました。
モールスコード試験
引き続いて試験を受ける旨を伝えて、先にモールスコードの試験(Element1)を受けることにしました。これは、Element1が合格していれば、最悪Element3(General)のWritten
Examが落ちても限られたバンドですがCWにも出られるようになるからです。モールスの速度は5WPMになっていたので1総通の100字/分(約20WPM)を思えば全然楽勝です。試験は実際のQSOの様子を模した内容で、RST、QTH、名前、RIG、自己紹介(年齢など)などの内容が流れてきます。実際のQSOと違うのは、実際のQSOでは繰り返し送信されることの多いこれらの内容がどれも1回限りしか送信されないことです。受信し損なうと2度と繰り返してくれませんから、速度が遅くとも注意が必要です。試験は、送信内容のCopyと、「相手の名前は何か?」と言った、送信内容に関する問題が10問でした。送信内容は完璧に受信したので、設問を解くのは非常に馬鹿らしかったのですが、余裕で終了。無事合格し、2枚目のCSCEを発行してもらいました。
General級試験
試験場を見るとまだ試験に取りかかってる人が居たので、さらに試験を受ける旨を伝えて3枚目のFrom605を記入し、Generalの試験問題を受け取りました。Generalは1日ぐらいしか準備する時間がなかったので、自信がない問題も幾らか出てきました。14MHzの3EL八木の導波器の長さは?みたいな楽勝問題でも、単位がinchだったりfeetで記述されており、記憶を元に波長や選択肢をメートル法に換算して計算してみるとどうしても計算合わないのが出てきて弱りました。単位が日本と違う物は換算に要注意です。少なくなってきた他の受験者を気にしつつ、なんとか35問中26問以上の合格ラインをクリアしてそうだったので答案VEに提出して採点してもらい、無事合格しました。これでCSCEも3枚目です。
更に試しにExtra級も受験してみようかなという気持ちもよぎりましたが、VEから渡された紙の中に「準備してない資格の試験を受けることは勧めない」云々という一文が入っていた上に、受験者ももうほとんどいないので、VEに迷惑をかけるわけにもいかないと思い、次に受験することとし、VEとちょっと雑談をして試験場を後にしました。時間は正午近くになっていました。
他のメンバーとの再会・Extra級問題集購入
一緒にHamfestに行った他のメンバーが待っているの場所へ急ぐと皆待っていてくれました。試験結果を伝えるとみんな喜んでくれましたが、「何でExtraも受けなかったんだ」と言われてしまいました。「受ければ絶対受かったのに」という声を聞きつつ、Hamfestで近所で見つからなかったGordonのExtra級用のstudy
bookを購入して帰りました。
この日に得たCSCE(合格証書)
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| Technician(Element2) |
モールスコード(Element1) |
General(Element3) |
Extra級準備
Ithacaに戻り、早速次の試験がどこで受験できるかをwebで調べてみました。すると、10/13日にEndicottで試験が実施されることが分かりました。EndicottはIthacaから約50マイル、車で1時間程度のところですので何とか行けそうです。そこで、この日を目指して準備することにしました。余談ですがEndicottはIBM発祥の地で、今でも工場があるIBMの城下町だそうです。
次の試験まで約2週間ですが、Extra級のQuestion Poolの問題数は非常に多く、study
bookは今までの物よりも大分厚い感じで手強そうです。法規は、Extra級なのでこれまで苦労したバンドプランを覚える必要はあまりありませんでしたが、日本で馴染みのないCivil
Defense関係や、リニアアンプのFCC認定などのトピック、スプリアス規制などなど覚えることはたくさんありました。工学系も大分難しそうです。面白いのは実際の運用に即したトピックも選ばれていることです。例えば、衛星通信のAOS/LOSの関係、RTTYの運用周波数、EMEのQSOルールなどの問題がありました。目新しいものとしてはRF
Safetyの問題がありますが、以前仕事で関わっていたこともありこれは大丈夫そうでした。
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Hamfestで購入したExtra級の問題集 |
General級免許到着、KC2IOG開局
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試験終了後2週間程度で免許が降りると聞いていたので、1週間過ぎ辺りから毎日のようにFCCのULSで免許情報の検索をして、免許が降りたかどうかチェックしていました(^^;
ようやく10月9日に、免許が降りたのを確認、初めての外国コールサイン、KC2IOGが免許されました。あとはExtra級の試験を受けるだけになりました。
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| 到着したKC2IOGの免許状(部分) |
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試験当日(Extra)
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| Extra級合格のCSCE(clickすると大きくなります) |
試験が行われるEndicottまでIthacaから車で1時間程度。他の交通手段は(恐らく)ありません。当時アメリカの道に慣れてなかったので運転は怖かったものの、仕方がないのでレンタカーを借りて行くことにしました。試験開始時間の13:00に十分間に合うように10:00過ぎにIthacaを出ました。途中ちょっと道を間違えたもののEndicottの街には難なく到着。早く着きすぎたのでまず試験場の消防署を確認して、Macで腹ごしらえをしつつ、問題集を開いてひたすら暗記をしていました。実は、法規に時間がとられ、この時に至ってなお問題集が全部読み切れてないという状態だったので、ひたすらマーカーで正解をマークして解法を覚えていました。結局工学は時間切れで、やり残した部分は実力で解くことにして試験に臨むことになりました。
試験は消防署の会議室のような部屋で行われました。会場にはVEが3,4名と他の受験者は恐らく地元の人と思われる人が2,3名。事前の連絡無しで来たためちょっと意外な顔をされたので若干不安になりましたが、無事受け付けられました。FORM605には、コールサインを変更するかどうかのチェック欄があるのですが、受かったらコールサインを変更する方にチェック。受かると、Extra級用の1文字短いコールサインが新たに割り当てられるはずです。
配布された試験問題はバインダーに綴じた冊子形式のものでした。Extra級はさすがに難しい。計算問題も多く、持参した計算機と、配布されたscratch
paperを駆使してガリガリ解いていきました。最後に1問解けない計算問題があり、最後まで頑張ってみたものの結局諦めて適当にマークして提出。VEの採点を待ちました。結果は無事合格(^_^)
VEには、「もっと間違えてもいいのに」と言われました(^^; 終了後VEと雑談。日本の免許制度などについてしばし話して別れました。
最後の仕事はIthacaに無事に戻ること。紅葉で赤く染まった木々を遠くに見ながら1時間のドライブで戻ってきました。
Extra級免許到着 AB2NFに変更
Up gradeした場合、新しい免許を待たずその場から合格した級として運用可能になります。この場合のIDは、新しい免許が来るまでは、現在のコールサインに記号を付加する形で行います。Extraにup
gradeした私は、KC2IOG/AEになりました。コールサインの変更にチェックしたので、試験以降、どんなコールになるのか楽しみに待つ日々になりました。QRZ.comなどの新規開設局のデータを見る限り、Extra級のコールサインの進み具合はかなり遅く、ある程度予測が付きました。AB2N?の初めの方だと思っていた10月24日、AB2NFで免許がおりたのが確認できました。初めての2x2コールサインです。Generalで取得したKC2IOGは結局1度もQSOすることなく、1ヶ月弱で変更になってしまいました。
その後…
AB2NFから、Vanity callsign programで1x2の更に短いコールサインに変更すべくFCCに申請したところ、トラブルに巻き込まれため変更が遅れに遅れて、年が明けて3月にようやくN2YXになりました。
VE(Volunteer Examiner)の認定をW5YI-VECとARRL-VECから得て、地元のクラブが主催する試験で実際にVEとして活動しました。
この辺の話は別なページ(Vanity call取得記、
VE資格取得記)でご紹介します。
Hiro, N2YX ex. KC2IOG,AB2NF